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道々のスナップ

クジラのディスプレイ像
宇佐漁港に「よさこい節」で歌われている鯨の像が
石を亀に刻んだ像
38番札所の金剛福寺境内に大師亀
足摺岬の灯台
足摺岬の金剛福寺すぐそばに太平洋へ向かって灯台が
瀬戸内の眩しい海
松山市を抜けると瀬戸内海に出る。青い海に久しぶりに感激する
巡礼日記その2 スナップ トピックス
 ◎人生は苦ばかりか
 遍路をされる方は、何か悩みがあって弘法さまにおすがりして、苦しみから解放されたい、という方が多いのではないかと思っています。
 先に書きました大阪からの親子連れの遍路さんのように、解決策を求め、現状から脱却したいという思いでお遍路をしているのでしょう。
 こうしたプライベートな話は、なかなか聞くことができませんが、遍路宿で、夕食の後、寛いだ中で聞く機会があります。
 三十七番の岩本寺を打ち終わり窪川駅前の遍路宿で、70才代の方、それに私と同年齢だろうと思われる方の男3人の雑談で、一人の方が奥さんを亡くし「遍路に出た、プラスチックのケースに写真を入れ身につけ、同行二人でまわっている」と言っていました。
舞を奉納する人
舞を奉納しながら寺々を回っている人を見かける(天皇寺で)
 連れ合いをなくして巡礼に
 こうした連れ合いを亡くした方は、他にも聞きました。納経所で順番待ちの間、聞くともなく話をされている声が耳に入ってきます。「前回は二人で回ったのだが、今回は写真と二人だ」と。
 また、友人の病気が良くなりますように、と祈り巡礼をしているという方もいました。元気な定年になったばかりのかたで、一日約40キロを目標に歩いていると言います。その場の皆さんは、そんなに歩けないよ、といいますが、ハタシテどうでしょう。
 ◎お接待記念日
 お遍路と「お接待」ということは、よく見聞きしていました。歩きのお遍路さんとは違い自転車で回っているものには、縁の無いことだろうと、気にも懸けないでいました。ですが、思いもかけず私もお接待されたのです。
 遍路旅の行程も後半の今治市でのことです。58番の仙遊寺へ向かうミカン畑の山を自転車を押して登り、境内でやれやれと一息入れていると、女性の方お二人から、どら焼きを「どうぞ」と差し出されました。男女7人の一行でマイクロバスで回っているそうで、奈良と大坂からと言っていました。お互い遍路同志ではありますが、知らない他人から物をもらうなど、日常ではそうそうありません。
 このお接待がこの日の幕開けで「お接待」の「記念日」になったのです。
つづら折りの峠の風景
つづら折れの山道を自転車で上って行くのはツライ
 大枚1000円のお接待
 つづいて59番国分寺を打ち終わり、次はいよいよ四国の最高峰・石鎚山の尾根続きにある60番の横峰寺です。今治街道に出て地図を見て確認をしていると、道路の向かい側から声を掛けられました。ビニル袋を提げた小太りの30代後半の男性が、つかつかと道路を渡ってきたのです。そして「接待させてください」と有無を言わさず、私へ1000円札を渡して向こう側へ戻って行きました。あっけにとられ、咄嗟に言葉も出てきません。ようやく「ありがとうございます」と言うのがやっと。なんとお礼を言えばよかったのか、と暫らくは考え込みました。何しろ現金です。それも大枚1000円です。
 これ以降、こうしたお接待はありませんでした。
◎通しで歩くお遍路さんは
 自転車で走ると、寺間の距離が短い10番札所までは次々と、歩きの遍路さんを抜きます。
 この方々が約50日近くを全て通しで歩く方ばかりではありません。ほとんどの方は、区切りの歩きが多いようです。現役で働いていたり学校に行っている若い方が、10日間だけ一週間だけと日にちを決めて遍路に出ます。一方、定年を迎え時間に余裕のある元気な方は、通し打ち(参拝)に挑戦していました。
 徳島県の最後の寺にあたる23番の薬王寺門前で、偶然千葉から来た女性の遍路さんと、一緒の宿になりました。勝田台にお住まいの方で、昨年、定年を迎え徳島県内を打ち終わり、今回は、83.4キロ先の高知県最初の寺24番の室戸岬の最御崎寺を、明日から目指すと言っていました。
タクシーで巡礼
タクシーで乗りつける参拝の方も多い(清滝寺で)
 高知県は修業の道場
 高知県内の16札所間は距離があり、最後の宿毛市の39番延光寺までは長い道のりです。延べ約408キロもあります。歩きの遍路にとって高知県は辛く「修行の道場」と言っています。四国四県をそれぞれ「発心の道場」(徳島県23札所、約210キロ)、「菩提の道場」(愛媛県26札所、約365キロ)、「涅槃の道場」(香川県23札所、約163キロ)と、表しています。
 女性の方の歩きは、どの程度いるのでしょう。私の感覚では、二割弱ではないかと思っています。遍路宿や境内では大きなザックを背負っている女性は、あまり見かけませんでした。