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敦煌をたずねてその4(9の内)


4日目   11月13日(火曜日)

 玉門鎮〜安西(瓜州

スナップ

トピックス

 双塔水庫(ダム)に沈んだ玉門関(唐代)

 マイクロバスは、9時にホテルを出発。高速道路312号を走り双塔で下りる。
 疎勒河という河をせき止め造られた双塔水庫(ダム)に車を止める。この水の底には、かつての玉門関跡(唐代)があるという。まだ新しいたたずまいのダム周辺を散策し、往時の面影をしのぶ。

 玉門関というのは、唐の時代のものと漢の時代との二つあり、玄奘三蔵法師が約1400年前に通ったのは、この今は水底の玉門関だという。伊吾(ハミ)方面への西域北道の関所として置かれたそうだ。
 さらに西へ約250キロのところに漢代の玉門関があり、漢の時代の国力が大きかったことが分かる。玉石が重宝された中国では、産出地の和田(ホータン)から、都の長安に運ばれたが、その経路にあたる関所を玉門関と呼んだ。
のろし台
周囲を遮るものが無い丘陵に烽火台がそびえている。崩れそうになっている。
 菖蓿烽(もくしゅほう)の烽火台

 ダムの北側には第一の烽火台である菖蓿烽(もくしゅほう)があり、水辺から見えていた。低い丘陵を上って見に行く。
 烽火台とは、この唐の時代の玉門関から西域に向かって瓜州、伊吾(ハミ)に向かう3つの経路上に19箇所の烽火台が設置され、ハミ方面へは西北に向かって五つの烽火台が100里(中国里)を隔てて置かれていた。その一番目がここという。丘陵の一番高いところに置かれ、今は3mほどの高さの土嚢積みの烽火台が崩れかけている。360度遮るものがない。敵兵の監視と烽火を上げて連絡することが出来る。
 鎖陽城跡を訪ねる

 再びバスで移動し鎖陽城跡に向かう。遠くの地平線と祁連山か、まっ平らな地形が続く中を走る。塩分を含んだ土地らしく雑草がところどころに見えるだけだ。村落が時々現れ、たまねぎの収穫時期らしく、網袋へ詰めたたまねぎが庭に積み上げられている。

 バスで走ること約1時間、12時半に鎖陽城に到着。小さな管理所の内庭を借りて昼食。

 その庭に直径が1mほどの金属で出来た丸いパラボラアンテナ状のものがある。よく見ると太陽光を集め、中心点でお湯を沸かすものだ。ソーラークッカーだ。電気がまだここまで引かれてなく光熱は自然を利用している。
 また、葉の落ちた細い木には、皮をはいだイタチの様な動物の肉がつるされ、干物にされようとしていた。

 管理所の小屋から少し離れた潅木の中に土壁で造られた囲みがあり、それがトイレになっていた。「男・女」という文字が土壁の右と左の端にペンキで大きく書かれ、ここがトイレだと分かる。中は、正面の壁に向かってただ溝のあるのみ。大小の区別はない。

鎖陽城ののろし台
城の西角に烽火台がそびえる

管理所の中庭で昼食
金属の丸いもの(左)はソーラークッカーで、湯を沸かす
 西域の拠点都市は廃墟に

 鎖陽城は、漢代に建てられ唐代がもっとも賑わいをみせ、明代末に終焉を迎えたという。西域経営の拠点のひとつで、オアシス都市としてシルクロードの交易量の増大とともに軍人や交易の商人で溢れたこともあったであろう。

 規模は大きく面積80万平方メートル、高さ10mの城壁が四周を囲う。城内は東西に区分けされ四角形をなしていたというが現在は、土塁が崩れ、草木が疎らにあるほかは、砂紋が出来ていて埋もれようとしている。
 城壁の西の角に8m程の烽火台がひときわ高くそびえ、かつては遠くからもよく見え鎖陽城の存在を示していたようだ。
 城址から自転車で安西へ

 城址の管理所前から自転車で走り始める。

 まっ平らな荒地のなか、ところどころ、牧草地を造る改良区があったが、そのうち上り坂があり峠越えになる。
 日も暮れはじめ、砂漠に日が沈んだところで、バスに乗り換える。約40キロ走って今日は終わり。

 7時前に安西(瓜州)の宿泊所である「瓜州賓館」に到着。

 夕食は別館の食堂で、丸いテーブルを囲み、ワインや紹興酒のような強い酒とおしゃべりで楽しい晩餐になる。毎回、ツアー中はこれが続いた。レストランとなっている別館を出ると、夜空は満天の星だった。
崩れかけた仏塔
寺院あとに立つ仏塔
玄奘三蔵法師が逗留

 寺院跡を見るため城壁に沿って歩く。15分ほどの所にある土塁の塔を目指す。
 砂とカラカラに乾燥した雑草の中を近づくと、仏塔は崩れかけていた。高さ10mほどか、細長いお碗を伏せたような塔内に経典が収められていたという。寺院跡といわれる周辺の地面には陶器や瓦の欠片が砂の中から覗いている。
 ここにも三蔵法師が旅の途中に寄ったそうで、お城の北門跡に、ここより出発していったと記された石碑が置かれていた。
 この鎖陽城はまだ、あまり観光化されてなく、朽ちるままにされている感がある。